給与の前払いは違法?非常時じゃないとダメ?労働基準法から解説

「給料日前なのにお金がない…」
「働いたぶんだけでも先にもらえたら助かるのに」
そんなふうに思ったことはありませんか?
実は、条件を満たせば給与を前もって受け取る「前払い制度」が使えるケースがあります。
法律で認められた「非常時払い」だけでなく、福利厚生として独自に前払い制度を導入している企業も増加中。
この記事では、給与の前払い制度について法律的な観点も交えてわかりやすく解説します。
また、どんなときに使えるのか?実際に使うときの注意点は?といった疑問にも答えます。
【この記事でわかること】
- 給与の「前払い」とは?
- 給与の前払いは非常時であれば請求できる
- 非常時じゃなくても「前払いOK」の会社もある
- 給与前払いが役立つのはこんなとき
- 給与の前払いに関するQ&A
- 前払いOK求人あり!工場の求人ならHOPEエージェント
- まとめ
■ 給与の「前払い」とは?
給与の前払いとは、すでに働いた分の給与を、給料日よりも前に受け取る制度のことです。
たとえば、月末締め・翌月25日払いの会社で、月の途中(たとえば15日)まで働いた分を、その時点で受け取るようなケースが「前払い」。
最近はアプリや専用サービスを通じて、簡単に申請&即日受け取りができる仕組みを導入する企業も増えてきています。
また、前払いと似てるようで違う言葉として「前借り」があります。
★前借り ⇒ まだ働いていない期間の分を先に借りる
★前払い ⇒ すでに働いた分の給与を早く受け取る
前払いは「働いた分のお金」を早く受け取るだけですが、前借りは「働いてない分」も含めているので借りている形。
この前借りと前払いの違いは押さえておきましょう。
■ 給与の前払いは非常時であれば請求できる
「給料は決まった日にしかもらえない」と思っている人も多いかもしれませんが、実は「非常時」に限って、法律に基づいて前払いを請求できる仕組みがあります。
これは「お願い」や「会社の好意」ではなく、労働者側から「請求」できる正当な権利として、労働基準法第25条とその施行規則で定められています。
※労働基準法 第25条
使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であつても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。
※労働基準法施行規則 第9条
法第二十五条に規定する非常の場合は、次に掲げるものとする。
一 労働者の収入によつて生計を維持する者が出産し、疾病にかかり、又は災害をうけた場合
二 労働者又はその収入によつて生計を維持する者が結婚し、又は死亡した場合
三 労働者又はその収入によつて生計を維持する者がやむを得ない事由により一週間以上にわたつて帰郷する場合
法律で認められている非常時払い(前払い)
この制度は「非常時払い」と呼ばれるもので、会社が定めた通常の給料日より前に、すでに働いた分の給与を一部または全部受け取ることができます。
ただし、前提となるのは以下6つの事由のいずれかに当てはまることです。
・出産(本人または生計を共にする家族)
・疾病(急な病気・ケガによる通院や入院など)
・災害(火事、地震、水害などの自然災害)
・結婚(自分自身や家族の結婚に関する費用)
・死亡(葬儀や弔事の費用が必要な場合)
・やむを得ない理由での1週間以上の帰郷(たとえば実家の介護や看取りなど)
これらのいずれかに該当し、そのためにどうしてもお金が必要な場合、会社に対して給与の前払いを請求できるという仕組みです。
非常時払い(前払い)の注意点
請求できるのは「すでに働いた分」のみ
ここで注意したいのは、この制度が認めているのは「すでに働いた分」に対する請求だけということです。
そのため、まだ働いいていない分の給与に対しての請求は認められません。
「すでに働いていて、非常時なので今払ってほしい」ということが法律上認められているというわけです。
実際に前払いできるかどうかは会社次第?
非常時払い(前払い)は法律上で定められた権利です。
ただし、現実的な話をすると「制度としてきちんと整備されていない会社」や「手続きが煩雑な場合」もあります。
法律上請求できるとはいえ、会社がその制度を認識しておらず、対応に時間がかかるケースのほうが多いかもしれません。
そのため、前払いが必要になったときは
・まず就業規則や給与規程をチェック
・人事や上司に相談
というステップが現実的と言えます。
前払い分は、給料日にもらう金額から引かれる
前払いで受け取ったお金は、あくまで「本来の給料日のタイミングで支払われる予定だったお金の一部」です。
そのため、給料日に振り込まれる額は「前に受け取った分を差し引いた金額」になることを忘れてはいけません。
たとえば、25万円の給料のうち10万円を前払いで受け取っていたら、給料日に残りの15万円が支給される、というイメージです。
当日になると「差し引かれて損した」と感じる人もいるかもしれませんが、そもそも自分がすでに働いた分を先に受け取っただけなので、当然ですが帳尻は合っています。
あくまでも非常時払いは「例外」扱い
労働基準法では「賃金は毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うこと」が原則とされています(第24条2項)。
非常時払いはその例外措置として認められているもの。
つまり、「原則は決まった日に払う。しかし、やむを得ない事態があればその限りではない」という考え方に立っているということです。
法律上認められるとはいえあくまでも例外扱いなので、そこは押さえておきましょう。
※労働基準法 第24条2項
賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。
■ 非常時じゃなくても「前払いOK」の会社もある
非常時じゃないと前払いできないのかと思いきや、最近では福利厚生の一環として前払いに対応している会社も増えてきています。
特にアルバイトや派遣など短期雇用の現場では「日払い・前払いOK」をうたった求人も見られます。
背景には、「できるだけ早くお金を受け取りたい」というニーズの広がりがあります。
アルバイトやパート・派遣など、日々の生活費に直結する働き方をしている人たちにとっては「給料日まで待たずに、すでに働いた分だけでも先に受け取れたら助かる」という感覚はごく自然なもの。
そうした声に応えるかたちで、求人広告でも「日払い」「前払い」といった条件をアピールする企業が増えてきたという流れがあります。
特に人手不足が深刻な業種では、前払い制度が採用強化策の一環として注目されているようです。
企業はどうやって前払いを実現しているのか?
前払い制度を導入している会社には、大きく2つのパターンがあります。
★会社が自社の資金で前払いに対応するケース
⇒ 社内ルールに沿って、申請・承認を経て支給される
★外部のサービス(前払い代行業者)を活用するケース
⇒ 給料日を待たずにアプリなどから申請
⇒ 外部が立て替え払い
⇒ 給料日に会社から精算される
どちらの方式でも「前払い=法律上の条件に該当してから」ではなく、日常的に使える制度として整備されているのが特徴です。
前払い制度は派遣社員でも使える?
正社員やアルバイトなどの直接雇用に限らず、派遣社員も所属する派遣会社が前払い制度を導入していれば利用できることがあります。
ただし、利用条件(利用回数・手数料・上限額など)は派遣会社によって異なるため、まずは担当者や公式サイトで制度の有無をチェックしてみましょう。
前払い制度の有無を求人で見分けるポイントは?
「給与前払い制度あり」
「日払い・週払いOK」
「前渡し制度あり」
などの記載が求人票にあれば、前払いOKと考えて良いでしょう。
求人検索時に「前払い」「日払い」などのキーワードを使えば、前払い対応企業に絞って探すことも可能です。
条件に不安がある場合は、応募前に制度の詳細を確認しておくと安心です。
■ 給与前払いが役立つのはこんなとき
給与前払いの制度について知ったとき「便利そうだけど、実際にどんなときに使うの?」とイメージが湧かない人もいるかもしれません。
しかし実は「あと少しお金があれば…!」という切実な場面でこそ、この制度は頼れる存在です。
ここでは、前払い制度が実際に役立つ具体的なシチュエーションを紹介します。
突然の病気やケガで通院が必要になったとき
体調不良で病院にかかることになったとき、保険証があっても診察料・検査費・薬代などが重なると予想外に出費がかさむこともあります。
特に給料日前で財布に余裕がないと「行きたいけど行けない…」と迷う原因に。
そんなとき、すでに働いた分の給料を一部前払いで受け取れる制度があれば、迷わず受診するできます。
引っ越しや一人暮らしの準備にお金がかかるとき
新生活を始めるときは、想像以上に出費が続きます。
敷金・礼金・家具家電・引っ越し代と、まとまった金額が一時的に必要になるシーンは少なくありません。
そんな中で「働いてはいるけど、給料日はまだ先」という状況はよくある話。
前払い制度を使えば、すでに働いた分の給料を先に受け取って、初期費用の一部にあてることができるので、必要なタイミングでの支出にも柔軟に対応できます。
急な冠婚葬祭や帰省の予定が入ったとき
突然のお通夜や法事、あるいは実家への一時帰省が必要になるケース。
交通費や宿泊費、香典などの費用が必要になりますが、これもまたタイミングを選べない出費です。
特に遠方への移動が必要な場合は、想定より高額になることも。
「今すぐ必要だけど、貯金が足りない…」というとき、前払い制度があれば、大切な場面に立ち会う選択肢が持てるようになります。
給料日前、生活費がギリギリのとき
前払いがもっとも身近に感じられるのがこのケースかもしれません。
電気代、食費、交通費など毎月の固定費はどんどん出ていくのに、給料日はまだ先。
特に、アルバイトや派遣など日々の収入で生活費をまかなっている人にとっては「あと数千円で乗り切れるのに…」という状況が意外と多いもの。
こうした「あとちょっと」のピンチを乗り越える手段として、前払い制度はとても現実的です。
制度があるだけで、安心して日常を送れる土台になるはず。
前払いは「贅沢」のためじゃなく、「ちょっとしたピンチ」のために
給与の前払い制度は、決して「欲しいものを早く買いたい」などの贅沢のための仕組みではありません。
突然の出費や生活のちょっとしたピンチを乗り越えるための解決策として活用できる制度です。
一時的にお金が足りなくなることは、誰にでも起こり得ること。
前払いは賢く使えば、強い味方になってくれる制度です。
だからこそ、「何かあったときに頼れる選択肢」として、あらかじめ正しく知っておくことが大切です。
■ 給与の前払いに関するQ&A
Q1. 前払いって誰でも使えるの?
A1. 「非常時に該当するかどうか」によって変わります。
出産・病気・災害など、法律で定められた「非常時」の6つのケースにあてはまる場合は、会社に対して前払いを請求することができ、会社側も原則として応じなければなりません。
一方、それ以外の通常時に前払いを希望する場合は、会社が前払い制度を独自に整備しているかどうかがポイントになります。
まずは、自分が非常時にあたるかどうか、そうでない場合には制度の有無から確認してみましょう。
Q2. 前払いって借金扱いになるの?
A2. いいえ、基本的には借金(前借り)ではありません。
あくまで「すでに働いた分の給料」を早めに受け取るだけなので、「給料の先払い」にあたります。
だからこそ、利息が発生したり、返済義務があるわけではないので安心して使えます。
Q3. 前払い制度を使うと、給料日にお金がもらえないってこと?
A3. 給料日にもらえるお金が「少なくなる」というのが正解です。
たとえば月収25万円のうち、10万円を前払いで受け取っていたら、給料日には残りの15万円が支給されるイメージ。
「一時的に先にもらっただけ」で、全体として損をするわけではありません。
Q4. 手数料がかかるって聞いたけど本当?
A4. 外部の前払いサービスを使っている場合、手数料がかかる可能性があります。
手数料の有無・金額は会社やサービスによって異なるため、利用前に必ずチェックしましょう。
制度によっては「月◯回までは無料」といった条件があるケースも。
Q5. 前払いを使いすぎると、金銭感覚が狂わない?
A5. 便利な分、注意が必要です。
前払いは便利な制度ではありますが、何度も使うことが当たり前になると「給料日前なのに手元にお金がない」「毎月のやりくりが崩れる」といった事態につながることも。
前払いはあくまで「急な出費や一時的な資金不足をカバーするための手段」として、必要なときだけに限定して使う意識が大切です。
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■ まとめ
給与の前払い制度は「すでに働いた分の給料」を給料日前に受け取る仕組み。
法律上認められている「非常時払い」と、企業が導入している福利厚生型の制度の2種類があります。
制度を使えば、急な出費や生活費のピンチを乗り越える手段として活用することができ、金銭的な安心感にもつながります。
ただし、制度の有無や対象となる雇用形態、手数料の有無などは企業によって異なるため、利用前には必ずルールを確認することが大切です。
前払い制度を賢く使って、ピンチを乗り切りましょう。

