話す力より聞く力が100倍大事!キャリアを劇的に変える「伝えるスキル」の真髄
コンサルタントの竹中です。
現代社会において、キャリアアップを目指したり、より良い将来を築いたりする上で、「スキル」の重要性は増すばかりです。かつてのように、一つの会社に長く勤めて、目の前の仕事を覚えるだけで安心、という時代は終わりを告げつつあります。これからは、スキルなしでは職を失う可能性すら出てくるかもしれません。
様々なスキルがある中で、今回は特に、あなたのキャリアを向上させるために必要不可欠な、そして日々の生活にも深く関わる「伝えるスキル」についてお話ししたいと思います。
スキルと聞くと、プログラミングやデザインといった専門スキルを思い浮かべるかもしれませんが、私が考えるキャリアアップの土台となるベーススキルは、大きく分けて4つあります。
- 伝えるスキル
- ブランディングスキル
- 論理思考スキル
- 企画設計スキル
これらのスキルを磨いていくと、単に仕事をこなすだけでなく、事業計画や提案書の作成、さらには経営サイドに携わるようなポジションも見えてくるはずです。その中でも、今回は最も基本的な「伝えるスキル」に焦点を当てて掘り下げていきましょう。
「伝えるスキル」は話し上手になることじゃない?
「伝えるスキル」と聞くと、「人前で上手に話せるようになること」「プレゼンテーション能力」をイメージする方が多いかもしれませんね。もちろん、それらも重要な要素です。しかし、私が考える「伝えるスキル」の真髄は、それだけではありません。
あなたの伝えるスキルは、営業活動、プレゼンテーションの場、そして日常生活における様々な場面で発揮されます。
例えば、
- 奥さんにおこづかい交渉をする旦那さん
- 上司に有給申請をする部下
- 社長に新規事業を提案する管理職
といった場面を想像してみてください。これらの場面全てにおいて、あなたの「伝えるスキル」が結果を左右すると言っても過言ではありません。
では、どうすれば、あなたの**「伝える」**が相手に響き、良い結果に繋がるのでしょうか?ここで、多くの人が見落としている非常に重要なポイントがあります。それは…
「伝えるスキル」は、あなたが話したいことを一方的に話すことではなく、「相手に、気持ちよく話してもらう」ことから始まる
ということです。
特に営業活動においては、この点が結果を大きく左右します。私はかつてリクルートで媒体営業をしていた時代に、このことを徹底的に叩き込まれました。
多くの営業マンは、お客様と会って間もなく、自社のサービスや商品のプレゼンや商品説明を始めてしまいます。もちろん、商品知識もプレゼン能力も大切です。しかし、私に上司が口酸っぱく言っていたのは、こうです。
「サービス(商品)より言葉を磨け、そうすればおのずと結果は出る。商品は二の次だ。」
そして、時間をかけるべきは、サービスの説明ではなく、ヒアリングと事前準備だと教わりました。
■ ヒアリング 45%■ 事前準備 45%■ 提案 10%
これが、結果を出す営業マンの時間の使い方のイメージだというのです。
話させる技術:相手の心を開く「事前準備」と「ヒアリング」
なぜ、提案がたった10%で良いのでしょうか?それは、事前準備とヒアリングの段階で、お客様との間に信頼関係が築けており、お客様自身が課題やニーズに気づき、「あなたから話を聞きたい」という状態になっているからです。
上司に言われた言葉で、特に印象に残っているのは「事前準備はお世辞の挨拶より大事」「相手に話させる」「ヒアリングに徹する」「話の間を上手につかう」「アイスブレイクに時間をかけろ」といった言葉です。
お客様には、営業マンに対して無意識のうちに「壁」を作っています。その「壁」があるまま、一方的にサービスの説明をしても、お客様の「伝わる耳」は開かれません。その「壁」を壊すために、徹底的な事前準備と、お客様に気持ちよく話していただくためのヒアリングが必要不可欠なのです。
事前準備では、お客様の会社のこと、業界のこと、競合のことなどを徹底的に調べ上げます。そして、お客様に会ったら、すぐに仕事の話に入るのではなく、アイスブレイクで場を和ませ、お客様に「この人には話しても大丈夫そうだ」という安心感を持っていただきます。
そして、ここからが重要です。ヒアリングでは、あなたが話すのではなく、お客様に「話していただく」ことに徹します。お客様が何に困っているのか、何を目指しているのか、どんな課題を抱えているのかを、丁寧に、辛抱強く聞き出すのです。
ヒアリングの武器:SPINの法則
効果的なヒアリングを行うための武器として、私が実践し、後輩にも教えているのが「SPINの法則」です。これは、お客様に質問を投げかけることで、お客様自身が自分の状況、抱えている「問題」、その「示唆(放置しておくとどうなるか)」、そして「解決」の必要性に気づいていくプロセスをサポートするヒアリング手法です。
■ S:状況質問(Situation Questions) お客様の現在の状況や背景を理解するための質問です。 (例:御社の現在の広告費はどのくらいですか?応募状況はいかがですか?現在、どのような求人媒体をご利用ですか?)
■ P:問題質問(Problem Questions) お客様が抱えている「問題」や不満、課題を明確にし、お客様自身に問題点として認識してもらうための質問です。 (例:必要な採用人数を充足できていない状況に、何かお困りはありませんか?募集をかけても、なかなか応募が集まらない原因は何だと思われますか?)
■ I:示唆質問(Implication Questions) お客様が認識した問題を放置しておくと、将来的にどのような影響が出るのか、その「問題の重要性」に気づいてもらうための質問です。 (例:その応募が集まらない状況が続くと、将来的にどのような影響が考えられますか?必要な人材が採用できないことで、他の社員の方々にご負担が増えている、といったことはありますか?)
■ N:解決質問(Need-Payoff Questions)問題の重要性を認識したお客様に、その問題を解決することでどのようなメリットが得られるのか、理想の状態をイメージしてもらい、「解決したい!」というニーズを明確にしてもらうための質問です。 (例:もしこの問題が解決できたら、御社にとってどのようなメリットがありますか?理想の採用状況が実現できたら、どのような変化が生まれると思われますか?)
このSPINの法則を意識することで、単に質問をするだけでなく、お客様の状況を深く理解し、隠れたニーズを引き出し、お客様自身に解決の必要性を強く感じてもらうことができます。そして、お客様が解決策を求めている状態になった時に、初めてあなたのサービスや商品を提案するのです。
スキルは実践で磨かれる。そして「結局は人」
もちろん、実際の商談やコミュニケーションの場面では、SPIN通りに完璧に進むことばかりではありません。お客様が自分の課題に気づいていなかったり、そもそも解決に興味がなかったりする場合もあります。また、お客様の役職や業界、商談の規模によって、ヒアリングの深さや進め方を変える必要もあります。
こうした予測不能な状況に対応し、その場で瞬時に判断していくためには、やはり経験が活きてきます。一つひとつの商談やコミュニケーションを振り返り、もっとこうすれば良かった、次はこうしてみよう、と改善を意識し続けることで、あなたの伝えるスキル、特にヒアリング能力は磨かれていきます。
このヒアリング能力は、営業活動だけでなく、後輩や部下の教育、上司への相談、さらには家族とのコミュニケーションといった、あらゆる人間関係において役立つ****一生モノのスキルです。
プログを書きながらふと思い出したのですが、私が営業をしていた頃、商品知識だけで勝負する営業マンと、この伝えるスキル、特に聞く力と人間関係の構築を大切にする営業マンでは、営業成績に大きな差がありました。今思うと、お客様との間に信頼関係が築けていたかどうかで、「この人になら任せられる」と思っていただける範囲が広がり、継続的な顧客に繋がっていたのだと気づけました。
結局は「人」なんですね。あなたの人間性、そして相手に寄り添い、理解しようとする姿勢が、伝えるスキルの最も大切なベースになるのです。
最後に:あなたの「聞く力」を磨いて、キャリアの扉を開こう
キャリアアップや転職を考える上で、専門スキルや知識の習得はもちろん重要です。しかし、どんな仕事に就くとしても、人と関わる以上、「伝えるスキル」は避けては通れません。そして、その伝えるスキルは、「話す」こと以上に「聞く」こと、そして相手のために「準備」することに真髄があります。
あなたの**「聞く力」を磨き、相手の本音やニーズを引き出すヒアリングスキルを高めることは、営業職の方はもちろん、リーダーを目指す方、交渉力をつけたい方、そしてあらゆる****仕事で人間関係を円滑にしたい方にとって、必ず役立つ**はずです。
もし、「自分のコミュニケーション能力に自信がない」「ヒアリングが苦手だ」「キャリアアップのために伝えるスキルを磨きたい」といった悩みがあれば、私たちキャリアコンサルタントにご相談ください。あなたの現在のコミュニケーションの傾向を分析し、実践的なアドバイスやトレーニングを通じて、あなたの「伝えるスキル」、特に「聞く力」を向上させるお手伝いをさせていただきます。
あなたのキャリアを劇的に変える可能性を秘めた「伝えるスキル」の真髄を、ぜひ私たちと一緒に習得しましょう。話を聞いてみたいと思われた方は、ぜひお気軽に弊社のホームページよりご連絡をお待ちしております。